土地の区域 市街化調整区域

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こんばんは。
今冬の大雪予測は、私の生活圏内に限っては肩透かし感のある今日この頃です…


新年の初回は、「土地の区域」についてです。

土地の区域…と言っても、馴染みのない方が多いかもしれません。
例えば…

  • 都市計画区域
    1. 市街化区域
    2. 市街化調整区域
    3. 区域区分が定められていない都市計画区域(非線引き区域)
  • 準都市計画区域
  • 都市計画区域外

都市計画法という法律では、この辺りの言葉が出てきます。
※さらに細かく「用途地域」や「地区計画区域」等がありますが、今回は割愛します。
本日は、この中でも「市街化調整区域」に注目してお伝えしたいと思います。

1. 市街化調整区域とは?

「市街化調整区域」とは、市街化(都市開発)を抑制し、環境の保全、農地の確保する等の目的で定められる区域になります。対となる市街化区域と共に、都市計画区域内に定められます。
それぞれの区域をざっくり図で表すと…

都市計画区域内に市街化区域、市街化調整区域、非線引き区域があると理解して頂ければと思います。
※実際の図は無断で掲載できないと思うので、各自治体のホームページ等でご確認ください。

「市街化調整区域」は、市街化を抑制されることから次のような特徴があります。

メリット
  • 市街化区域に比べ土地が安い
  • 落ち着いた(静かな)周辺環境が得やすい
  • 広い土地が得られる可能性がある
  • 土地の維持コスト(固定資産税等)が安い
デメリット
  • 建物の新築等に制限がかかる
  • インフラ整備が遅れがち
  • 土地売却が困難になる可能性がある
  • 建物に関する一部の申請が対象外

一般的な内容になりますが、4点ずつ挙げてみました。
設計者として、デメリット側で太字とした2点について知って頂きたいところです。(特に建物を建てること、敷地購入を検討されている方)

2. 市街化調整区域における建築的な制限

前述の通り、「市街化調整区域」は市街化を抑制する区域です。
したがって、抑制するために建物の新築や改修(リフォーム、リノベーション等)等の建築行為に対して制限が設けられています。

複雑な内容となりますが、まずは制限から除外されている内容のご紹介です。

  1. 既存住居の建替えの場合(建替え後の建物が既存の建物と同一用途、かつ、同規模程度)
  2. 農林漁業を営む方の住居の場合

上記の2つの場合は、複雑な内容の中でも分かりやすい部類になります。要するに、現在住まわれている住宅が「市街化調整区域」にある、または、農林漁業従事者の方であるかに依ります。

但し、それぞれに「開発許可」や「建築許可」が必要な場合があります。
例えば「2. 農林漁業を営む方の住居の場合」、住宅を建てる際は土地の地目が「宅地」等である必要があります。この地目が「田」や「畑」であったりすると、住宅が建てられません。住宅を建てられる地目は数種類ありますが、この地目の変更を行うためには開発許可が必要となるわけです。

分かりやすい部類といっても、許可の要不要の判断は難しいと思います。いずれにしても、事前に市役所等でご確認ください。

上記の2つの場合を除くと、基本的に開発許可が必要となります。開発許可が必要な場合は、以下のような場合が考えられます。
※分かりやすさ重視で、できる限り平易な文言にしております。力不足はご容赦ください。

  1. 都道府県等が条例で指定する区域内の土地
  2. 市街化調整区域内に継続して住まう世帯が分化する場合
    ※親世帯、子世帯に分かれる等
  3. 市街化区域に隣接または近接して、市街化区域と一体的な生活圏が構成されている場合
    (周辺地域の環境保全に支障がないもの) 等

多岐に渡るため数ある事例の一部のご紹介になります。ここで悩ましいのが、各都道府県の条例で定める内容となってくるため、取扱いがお住まいの地域で異なる場合があるという点です。特に土地に対して求められる基準(面積、接道用件等)は、自治体ごとに異なります。あくまで、市街化調整区域で住宅を建てることができる一事例であること、ご理解頂ければと存じます。

このように、「市街化調整区域」には建物を建てる際に例外的な規定や確認事項が多いことを認識して頂きたいです。なかなか、自分だけで”建物を建てられる”という判断はできないもので、必ず市役所等への確認が必要です。
また、開発行為自体は許可が出るまでに期間を要しますし、開発行為で工事が必要となれば費用が発生します。これらのことが「市街化調整区域」の土地の安さや土地にかかる税金の安さ等のメリットに釣り合うか、そして本当に建物を建てられるか、という点は十分に確認・検討を行われることをおすすめします。

※開発許可:宅地造成等の開発行為を行う際に必要な許可
※地目:土地の登記事項のひとつで、土地の用途の区分を示します

3. 市街化調整区域で気をつけたい申請物

建物の新築、改修(リフォーム、リノベーション等)を検討されている方は、建物に関して色々な申請物があることをご存知かもしれません。各種補助金や住宅ローンを組む際に申請が必要な場合があります。住宅に限りますが参考までにどんな申請があるかと言うと…

  • ZEH住宅
  • 認定長期優良住宅
  • 認定低炭素住宅
  • 性能向上計画認定住宅 等

になります。これらの申請を受けるためには、建物の構造や省エネ性能等が一定の基準を満たすように設計されたものである必要があります。
申請物について話題を取り上げた理由としては、「市街化調整区域」では申請の届出ができないものがあるからです。上記で太字にしておりますが、建物敷地が市街化調整区域の場合、「認定低炭素住宅」の申請は届出ができません(2023年1月時点)。

市街化調整区域が認定低炭素住宅の対象から外れている理由は、国土交通省が「よくあるご質問」として回答しておられました。

都市の低炭素化を進める上で、建築物単体の低炭素化を図ったとしても、当該建築物の新築等により都市の拡散を招くものである場合、交通負荷の増大等により、都市全体としての低炭素化につながらないため、申請対象となる区域を市街化区域又は区域区分を定めていない都市計画区域のうち用途地域の指定がある区域のみに限定しています。

注1 国土交通省 「低炭素建築物認定制度 関連情報」 よくあるご質問

<補足>
引用の通り、区域区分を定めていない都市計画区域(非線引き区域)で用途地域の指定がない区域も申請の対象外です。


「市街化調整区域」で住宅開発等が進むと、区域設定の本来の意図から外れてしまうということでしょうね。
このように、土地の区域区分で申請ができる・できないが発生しますので、土地検討の際は参考にしてみてください。

市街化調整区域に焦点を当てて、「建物を建てられるか」、「出したい申請は出せるか」の2点についてお伝えいたしました。
土地の価格やローン等、本日の記事内容の他にも検討することは多々ありますが、「建物を建てる」目線で参考にして頂けたら幸いです。
私が事務所を構えるエリアを見てみると市街化調整区域の範囲が多い印象でしたので、いつか記事にしたいと思っておりました。
土地探しの段階の方には有益だったのでは、と小さな自信を抱いているところです。

寒い日はまだまだ続きそうですので、皆様も体調にはお気をつけください。
それでは、本日も最後までご覧頂きましてありがとうございました。

小田原

参考

注1 国土交通省 「低炭素建築物認定制度 関連情報」 よくあるご質問 アクセス日:2023.1.12

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