設計者を選ぶ③

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こんばんは。
梅雨入りしましたね、と言った翌日からこちらは連日の夏真っ只中のような日々、そんな日々に首を傾げる今日この頃。天気が良く何よりです。

さて、今日は「設計者を選ぶ③」として前回の続きをお送りして参ります。
本日は、「設計者(会社)の評価」の内容です。”設計者を選ぶ”シリーズとしては一旦最後です。
まずは、前回に列挙していた要素を再掲。

<建物の性能>
① 構造
② 火災時の安全
③ 耐久性
④ メンテナンス性
⑤ 断熱・気密性
⑥ 居住性(住みやすさ、居心地、バリアフリー等)
⑦ 環境(空気・音・熱・光・視)

<設計者(会社)の評価>
⑧ 設計・間取の自由度
⑨ デザイン性 
⑩ コスト(価格)
⑪ 会社の安心感(信頼感)
⑫ きちんとした施工
⑬ アフターサービス

さっそくではありますが、<設計者(会社)の評価>について、それぞれの項目の見方を簡潔にまとめてみます。今回は家づくりに着目して、ハウスメーカー、工務店、設計事務所の比較でお伝えしようと思います。

⑧ 設計・間取の自由度

自由度: [高] 設計事務所 > 工務店 > ハウスメーカー [低]
工 期: [長] 設計事務所 > 工務店 > ハウスメーカー [短]

「こういった間取りにしたい」という考えがある方ほど、プランの自由度を求められると思います。一般的に設計事務所は自由度が高く、工務店、ハウスメーカーと続くと言われます。

3者の違いは、設計をシステム化しているか、だと思ってください。
ハウスメーカーの場合は、設計をある程度はシステム化(規格化)されています。例えば、この商品であれば、キッチンはこの中から、窓はこの中から、床材はこの中から・・・といった具合に、選択肢を絞った状態から検討が始まります。間取りに関しても、商品ごとに使用する構造材料の規格を決めていたりするので、柱の無い空間は〇mまで、天井高は○mまで、といった形でメーカーの定める範囲で決めることが基本です。

一方で、設計事務所の場合はハウスメーカーのような設計システムを持つ事務所は少ないです。案件ごとに0から設計がスタートし、基本的には法に触れない限り、設計に対して制限がありません。設備や仕上はあらゆるメーカーから選ぶことが可能ですし、間取りも構造上支障がない範囲でハウスメーカーや工務店よりは自由度が高いといえます。
設計事務所ごとに設計に取り組むスタンスは全く異なります。例えば、メンテナンス性を考えて使いたくない素材がある、キッチンはデザイン上の理由で決まったメーカーしか使わない等。契約前によく話を聞いてみたり、設計者の実績から自由度を判断することになるでしょう。

但し、あらゆることに例外はつきもので、ハウスメーカー、工務店も全特注対応、部分的特注対応といった形で設計事務所と同等の自由度で設計される会社もあります。特注ゆえに費用はかかるようです。

※工期(契約〜完成)は、ハウスメーカーが早く、工務店、設計事務所との順になります。理由は自由度と同様で、設計・工事をシステム化してできる会社ほど工期を短く、早く建てることができるというわけです。

⑨ デザイン性

一口にデザイン性を比較することは難しいです。。どんなものを建てるにせよ、検討される皆様が「良いと思ったものが良い」で良いと思います。ここではデザイン性を判断するための情報をお伝えすることとします。

○実績
・会社ホームページ等で掲載される実績画像
・実際に建っているモデルハウスやオープンハウス
・広告
・会社、会社の個人の受賞歴 等

○初期提案
・契約前の提案
※会社ごとで初期提案として対応してもらえる範囲や費用の有無が異なります。範囲というと、例えば平面図とパース(3D)と見積り、平面図と見積りだけ、見積りだけ、といった具合に提案として用意してもらえる素材とご認識ください。

⑩ コスト(価格)

コスト: [高] 設計事務所 > ハウスメーカー > 工務店 [低]
※同グレードの建物を建てようとしたときの比較とお考えください。

設計事務所の多くは設計のみを行い、実際に建てる会社は別です(設計分離方式)。
したがって、設計から施工までを1社で完結できる仕組みを取る工務店やハウスメーカーに比べてコストがかかる傾向にあります。

ハウスメーカーの場合は、規格化された商品のままなほど、つまりはオプション(特注対応)が無いほど、コストは抑えられるでしょう。
ハウスメーカーと工務店の比較は正直微妙なところはあると感じますが、営業に使われる費用を考えると、一般的には工務店が最もコストを抑えることができると思います。

※当ブログで設計分離方式について説明しております。詳しく知りたい方は下記リンクまで。
https://aoos-pf.com/others/select-an-architect1/

⑪ 会社の安心感(信頼感)

デザイン性と同様に比較の難しい項目ですね。一般的には会社規模が大きいほど安心感があるイメージを持たれているのではないでしょうか。
担当者の印象がそのまま会社の安心感や信頼感につながっていると思いますので、そういった意味では会社規模が大きいほど入社時の教育がしっかりしている場合も多いので、会社規模がひとつの判断ポイントと言えそうです。
担当者には酷な話ですが、会社によっては担当者替えも可能だと思いますので、もしもの時はご検討ください。

⑫ きちんとした施工

施工については、ホームページの画像や広告だけでは判断が難しいです。
おすすめの方法は、モデルハウスやオープンハウスに行ってみて、実際に見てみることです。特にオープンハウスですね。
たとえ全国的なメーカーであっても、実際に工事にあたる業者は地域ごとで変わります。「外装は問題なくても、内装でいいかげんなところがある」という場合もあるので、皆様が住む、又は商いをする地域ごとに評価する必要があるわけです。
※規格化されている商品でも、建物全てを工場でつくるわけではありません。外装の一部、内装のほとんどは現場で手作業です。

また、「会社の安心感」と同様に会社規模が大きいほど、施工もしっかりされています。私は設計事務所の所員として6年ほど施工会社の方々と関わってきましたが、規模の大きい会社になるほど施工に関する管理体制が整えられていました。これに関しては、「実際にそうでした」と言えます。お客様目線で、会社規模の大きさ=管理体制の良さ=きちんとした施工、と判断しやすいポイントだと思います。

最後に、ネット上にクチコミやランキングが出ている場合があると思いますが、判断ポイントとしては確実性にかけるように思います。
設計事務所、工務店、全国規模のメーカーの支店の場合は、参考にするとしたらコメントの内容だけですかね。
全国規模のメーカーさんの場合は、メーカーを総括するようなコメントは参考にならないかもしれません。理由は、オープンハウスのくだりで述べた通り、施工するのは皆様の住む地域の業者だからです。
それを含めてメーカーの評価だと言われると何も言えないですが、私もメーカーの回し者ではないので率直な意見を述べておきたいと思います。。

⑬ アフターサービス

建物は仕上げ、設備のいずれもが時間と共に劣化してしまいます。また、温度で伸び縮みしたり、材料中の水分量の関係で反るような材料等が要因で、住んでみてから発生する不良というものがあります。さらには、設備の故障等のメンテナンスも含んだ内容への対応がアフターサービスとお考えください。

建物に何かあったときに、どのような対応をしてくれるのか、という点は検討段階でも気になる内容だと思います。
アフターサービスは、そもそもサービスについて説明されない会社もありますし、サービスを整えている場合も会社ごとに内容は異なります。
どの会社が、どの程度のサービスを行っているかは私も知り得ないので、契約前に確認していただくしかありません。

一般的な内容になりますが、下記のような内容を契約時の確認事項として参考にしてみてください。

1.初期不良に対する対応はどうか?
・「半年点検」、「1年点検」により初期不良を確認する会社は多いです。

2.契約段階でアフターサービスを金額に盛り込まれているか?
・契約として定めた範囲のメンテナンスを行う。設備関係に多い。
・メーカーによっては、仕上げごとに保証期間を定めている

3.初期不良以外のメンテナンス(経年劣化等)
・経年劣化に対する定期点検はあるか?また、費用は?
・初期不良でない限りは、有償対応が基本だと思います。

4.その他の対応は?
・経験的には、10年点検を行う会社さんは見たことがあります。
・重大な瑕疵(構造上主要な部分の異常や雨漏り等)は、10年間の保証が義務です。新築時に必ず加入している保険です。

以上となります。

全3回で”設計者を選ぶ”についてお伝えしてきました。住宅等の検討の際に、”判断ポイントを増やしてもらえれば”と思い、最初の話題とさせてもらいましたが、いかがでしたでしょうか?
本日は主に3者を比較する形でお送りしてみたわけですが、それぞれにメリットがあれば、デメリットもあることが分かって頂けたと思います。
私としては、設計事務所をゴリ押しするわけではなく、検討されるそれぞれの方に合った選択をしてもらえればと願っております。

個人の方であれば、多くは初めて家を建てる方だと思います。専門家を相手に話についていけないと、不安に感じる方もいらっしゃると思います。このシリーズでは幅広く話についていけるよう、内容的には浅く広く、ひとつひとつの項目の導入部のような話にはなっておりますが、判断ポイントが養え、皆様のお役に立てていれば良いなと思います。
今後も個人的にお伝えしたいことや、ご質問の中でお伝えしそびれていることがあれば、また記事にしてみたいと思います。
※前回同様、細かな内容の疑問点は当サイトではご質問頂けましたらお答えいたします。

それでは、本日も最後までご覧頂き、ありがとうございました。

小田原

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