住宅の見積り

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Steve BuissinneによるPixabayからの画像

こんばんは。
先日のブログで「大雪予測に肩透かし」と言った矢先、大雪に見舞われてしまいました…
皆様のお住まいの地域は大丈夫でしたでしょうか?
まだまだ雪の残る地域もありますので、引き続きお気をつけください。

さて、「住宅の見積もり」としてお送りします。
以前のブログで設計事務所・ハウスメーカー・工務店を比較するような形で、それぞれの特徴をお伝えしましたが、今回は住宅の見積もりを取り上げ、費用面の特徴について知って頂ければと思います。

住宅を建てる費用=見積りが決まるタイミング

住宅を建てるときの流れはご存知でしょうか?
一般的に知られているのは、ハウスメーカーの流れだと思います。設計・施工を1社で行う工務店も同じような流れだと思います。
これらの会社に依頼した場合の一般的な流れは…

依頼

初期提案・見積もり

契約

詳細設計

工事

竣工引渡し

初期提案の段階でおおよその規模感や間取りが決め、工事を含めた見積もりが渡されると思います。
基本的には「初期提案・見積もり」の段階で、住宅を建てるために必要な費用が決定します。
契約後は、見積もりの内容を超えない範囲で設計の詳細(仕上げや設備の仕様決め等)を行い、建物を建てるために必要な申請等を行なって工事に入ります。

ここで、ハウスメーカーや工務店でご検討されている方へのアドバイスとしては、別途工事扱いになっている工事を把握することですね。設計事務所に依頼する場合も同じですが、外構費用や調査費用(地盤調査等)は、見積もりから抜いている会社もあると思います。
これは決して騙しているわけではありません。別途工事にした方がお施主様にとって費用的にメリットがあるという考えもあるので、依頼する側として注意して確認してみてください。

これに対して、設計事務所の一般的な流れは…

依頼

初期提案・概算見積もり

契約

基本設計

実施設計

見積もり

→工事

竣工引渡し

ハウスメーカーや工務店と流れが異なります。費用も設計料工事費用が明確に分かれます。前者の設計料は設計事務所に対する報酬、後者の工事費用は工事にかかる費用と工事施工会社の利益も含めた費用です。
設計料は、大体「概算見積もり」の段階で決定し、契約はこの概算見積もりを元に作成される事務所が多いと思います。この段階ではご希望に沿った金額で工事費用を概算し、概算工事費用に伴った設計料を算出します。
工事費用は、「見積もり」のタイミングで工事施工会社が見積もりを作成することで決定します。これが実際の工事にかかる費用です。初回の見積もりでは大体当初予算を超えることが多いですが…そこから当初のご希望金額に合わせる調整を行なっていきます。

費用面の特徴

ここまで説明させて頂いて、ようやく費用面の特徴についてお話ができます…
前置きが長くなりました。

ハウスメーカー、工務店、設計事務所で費用の取り方は異なりますが、目安を知る上で知られているのは、工事費に対して何%の利益(粗利)を取るという考え方です。
この考え方で、一般的には下記のような割合が目安になります。

<費用の目安:設計・施工一括型>
ハウスメーカーの粗利:工事費の30〜40%
工務店の粗利:工事費の25〜30%

<費用の目安:設計・施工分離型>
設計事務所の粗利:工事費の10〜15%
工事施工会社の粗利:工事費の10〜20% ※設計分は引かれている
A + B:工事費の20〜35%

実際には経営的な話もあるでしょうが、この費用差は、依頼から完成までのスピード感や品質の安定感等による差でもあると思います。このような単純に費用だけで比較できない理由もありますが、知っておいて損はないと思います。
当ブログ以外でもこの手の情報はブログやSNS等で発信されている方は大勢いらっしゃいます。情報の確度を上げるために調べられても良いかもしれませんね。

補足:実際の費用の算出方法は、国土交通省基準の算定方法、上記の方法での算定、延床面積に単価を掛ける方法等、会社ごとで異なります。

また、見積もりの出され方に違いがある場合があります。

設計・施工を一体で行うハウスメーカーや工務店の場合は、依頼した設計内容に対して1つの見積もりが提出されます。例えば、となりの市に同じメーカーの支店があっても、そこでは同じ設計に対して見積もりを出してもらえないのが通常の対応だと思います。同じメーカー同士で価格の競争になってしまいますからね。

これに対して、「見積もり合わせ」という形でひとつの設計に対して数社から見積もりを取ることがあります。これは設計と施工が分離していないと行えません。官公庁や設計事務所が採用する場合があります。金額面での「見積もり合わせ」のメリットは、数社で価格の競争が起きることで、より安く工事を行う業者を選定できるということです。(実際には工事を任せられるかを総合的に判断します)
設計事務所は、この「見積もり合わせ」の方法で、数社の工事施工会社に見積り依頼をする形をとる場合があります。最近では「見積もり合わせ」に応じてもらえる施工会社が減っていると聞いていますが、建てる側の方にとっては知識として知っていて良いと思います。
※一般的に相見積もりと言われることもありますが、誤解を招かないよう「見積もり合わせ」としております。

以上が本日の内容です。
弊社が設計事務所であるため、設計事務所側のメリットを主張する形にも見えたかと思います。また、一般的に設計事務所が「設計分離方式」で業務を進めることを理解して頂かないとスムーズに理解できない部分があったかもしれません。これから住宅を新築される方は、冒頭の以前にご紹介したブログも参考にして頂きながら、皆様の希望に合う依頼先を探して頂ければと思います。

現在、まさに設計を進めておられる方もいらっしゃると思いますが、考えれば考えるほど大変だと思います。理想の生活や住宅にかけられる費用、期間等…検討の天秤にかけることは多いはずです。ただ持論ではありますが、プロに任せる部分はあるにしても、任せっぱなしではなく自分たちの意思があった方が良いと思います。何事も完璧は難しくはありますが、より良い住まいを目指して検討を進めて頂きたいと思います。このブログが皆様の住宅検討の一助になっていれば幸いです。

それでは、本日も最後までご覧頂きましてありがとうございました。

小田原

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